キレイなひと
キレイなひととすれ違った。

肩で切り揃えられた黒髪と流れるようなシルエットのパンツスーツをゆらゆらさせて、その人は通り過ぎた。
陶器のような質感のイエローの肌に、くっきりふちどられた切れ長の目、中国人だろうか?こういうふうを人は「すずしげ」と、表現するのかなぁ。

「汗をかかない種類の美人」と、密かにワタシが分類している女性たち。
生気を感じない美しさ。
昔友だちの妹にそういう「キレイなひと」がいた。
彼女は顔の部品ひとつひとつも美しかった。背がとてもたかく、それでいて華奢な体つき。
化粧崩れで顔に油が浮いたり、汗だくになったりなんて、見たことがない。何日もお風呂に入らなくても臭わないんじゃないかと錯覚してしまう。
動と静、キレイな人にも2種類あるようにワタシは思う。
明るい躍動的な美しさと翳りのある湿った美しさ。彼女は間違いなく後者のほうだ。おそらくさっきすれ違ったひとも。そしてそれは幼い頃のワタシが憧れた大人の女性のイメージそのものだ。
友だちの妹は、同世代の男子には近寄りがたいものを感じさせるらしく、もてなかった。彼女も男子にはあまり興味がないようでストイックな感じだった。何年も前に終わった年上の男との道ならぬ恋を時々思い返しては溜息をついた。
その美しい身体にとじこめたいろいろな想いが彼女の皮膚に薄い膜を張り、生気を失わせ近寄りがたくしているのだろうか。

いまでもワタシは何故か、そんなひとに憧れてしまう。

よしなしごと | 15:01:50 | Trackback(0) | Comments(0)